30年前の教育

「30年前の教育を見直す必要」 国際教育学会総会で英進館会長

大学受験・進学塾大手の英進館会長で、理数系の学力低下に警鐘を鳴らしてきた筒井勝美氏は、戦後60年の教育の変遷を説明。「調べれば調べるほど学力低下は大変な事態になっているが、一般の人は事実を知らない。30年前まであったコストのかからない素晴らしい教育を見直すことが必要だ」と訴えた。

 筒井氏の言う「30年前の教育」というといわゆる「四六答申」が出る前ということになる。つまり、「ゆとり教育」路線の前ということになる。30年前の教育が「コストのかからない素晴らしい教育」だったというのはどういう理由からなのか分からない。一つ言えることは、筒井氏が言うように「30年前まであったコストのかからない素晴らしい教育を見直すこと」は必要なことだが、当時の教育に戻せば良いということにはならない。なぜなら、当時と比較して教育の規模や取り巻く環境などが大きく変化しているからだ。
 ここで言いたいのは、筒井氏の発言を聞いて、「ゆとり教育」から「30年前の教育」に戻せば良いと短絡的に考えてほしくないということ。筒井氏がそうだとは思わないが、単に昔に戻せば良いというのは、アナクロニズムでしかない。