足下にある問題に目を向ける

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 このなかで岡崎勝氏は次のように述べている。

 フリースクールか義務制学校かといった論議にすらも、ほとんど耳を貸さない現場の現実状況ではあるが、それは、たしかに政治性を持たない教師や親、特に教育行政に関わる人々があまりにも多いからである。しかし、いわゆる政治的に教育問題を理解しようとする人たちの中にも、足下の「政治的なる個別具体的な問題」を瑣末なものと誤認している人も多い。しかし、真に政治的とは、党派性のことだけでなく、意識に埋もれた、教育実践の自明性を衝くことでもあるのだ。瑣末なものはあくまで瑣末なのである。しかし、自らの視角の狭さを、自覚しないで、教室の個別具体的な問題を、本質的でない瑣末なことと見誤るのは、ただのアナクロニズムにすぎない。

 岡崎氏の言っていることは、とても重要なことだ。「意識に埋もれた、教育実践の自明性を衝くこと」が段々と無くなってきている。例えば、学力向上といった名分のためには、「瑣末」なことは問題にしない。そのための実践や指導の政治性や自明性を問うこともない。教室の個別具体的な問題について触れることもなく、様々なノウハウだけが伝えられていく。
 問題に目を向けることもせず、その問題の解決に取り組むこともできない。だから、「瑣末なこと」として放置されている問題は、知らないうちに深刻化してしまう。政治家やマスコミの言う問題だけでなく、足下の問題にも目を向ける必要がある。