こういうのはどんどん広報しよう

教育基本法」改正で学校はどう変わるの? 文部科学省に聞く【2】

 この中にはっきりと教育基本法改正の意図が示されている。こういうのはどんどん広報して教育基本法を改正したがっている方々の意図を知ってもらいたい。
 この中で、板東久美子氏は

 改正案では「教育の目標」(第2条)として5本の柱を掲げていますが、「公共の精神」や「〜我が国と郷土を愛する」ということも、これまで学習指導要領に盛り込まれてきたところであり、教育関係者にとっては目新しいことではありません。しかし、ごく限られた教育関係者の認識にとどまっていたことも確かですし、実際の取り組みが全体として十分だったとは言えません。それを学校だけでなく、家庭や地域社会も含めた国民全体の重要な理念として打ち立てていくことが重要なのではないか、と考えたのです。
 ですから学校の先生にとって、特に理念や方向が変わるということはないのです。従来やってきたこと、やるべきことを、さらにしっかりやっていただく、ということです。保護者の立場から言えば、目標が明確にされて、これまで以上に学校で充実した指導がなされる、ということになります。

と述べている。これは、教育基本法改正案が成立すると、これまで以上に現場に介入し、締め付けが強まることを意味する。さらに、坂東氏は

――しかし、法律に書いただけで実効性が上がるのか、という疑問もありますよね。

それには、さまざまなシステム整備とともに、改正案に盛り込んでいる教育振興基本計画(第17条)の役割が重要です。基本法の理念を具体化するためにどういう施策を行うか、おおむね5年くらいの期間で計画を立てることになります。実は今まで、こうした教育全体の中長期的な計画というものはありませんでした。振興計画は、教育に関して国民的に共有した理念を実現し、教育の水準を向上させるための、国民への「約束」になるのです。

と述べている。これまで教育基本法によって行政が教育内容などへ介入することは抑制されていた。しかし、教育振興基本計画によって行政の介入が「正当化」され、行政はいつでも好きなように教育に介入できるようになる。教員などはそういう介入について「不当である」等という主張は一切できなくなる。
 教育基本法改正案は、議員や官僚に大きな利益をもたらす。国民を教育という装置を通して操縦することを容易にし、教育振興ということで多額の予算を確保し、権益の拡大が可能になる。国民にとって利益になることなどない。
 教育をそういうものに変えることが教育基本法改正の意図であり、その意図は国民の関心を他のことに向けることで隠蔽している。
 最後に指摘しておきたいのは、「学習指導要領」という法律でもないものに教育基本法が合わせる必要など全くない。また、「学習指導要領」は国民の総意に基づくものではなく、ある行政機関が内部の諮問機関に諮って作成した文章にすぎない。それを法律を改正する根拠とすることはできないし、法律よりも効力を持ったり、法律を規定することはできないはずだ。だから坂東氏の言っていることは間違っている。