ズレた議論

教委選択制めぐり対立 改革会議と文科省

 戸田忠雄NPO法人代表 教育委員会は学ぶ者でなく、自分たちや教師、文科省を向いている。教育行政は住民に顔が向く首長がやったほうがいい。
 福井秀夫政策研究大学院大教授 教育委員は住民に責任を負う立場でなく感度が悪い。米国では大半の権限が校長に下りている。

 まず、教育行政が住民の方を向いてなかったり、感度が悪い要因は教育委員の公選制から承認制へと変更し、文部省や行政の単なる一機関へと変えたことが大きな要因。また、アメリカのことを福井氏は持ち出しているが、アメリカは教育は地方分権というのがこれまでの流れで、校長に大きな権限があるのはそういう歴史的経緯があるから。本当に必要なことは教育委員会廃止ではなく、教育の本当の意味での地方分権を求めるということ。
 規制改革・民間開放推進会議の本音は教育委員会の廃止による地方公務員の人員削減だ。それを隠してこういう取って付けたような理由でごまかしている。

 樋口修資文科省審議官 教育委員の選任には議会の同意があり、「チェックアンドバランス」の機能が働いている。委員会では合議制で議論している。
 山中伸一文科省審議官 政治的中立性を担保するのが現行の制度だ。権限が集中する首長とは別の形で責任を持っている。

 こちらの意見もまたおかしい。どこにまともな「チェックアンドバランス」の機能が働いているのか。教育委員会が議会や首長の意に反することをやった事例がどこにあるのか。また、議会が教育委員の承認を拒否するのは教育に関する理由より政治的な対立による場合が圧倒的に多い。
 「政治的中立性を担保するのが現行の制度」なんて嘘をよく言える。そういうバランスの取れた教育委員会の存在を知らないのだが。
 文科省は自分の手先となる末端の機関を温存したいだけで、教育のことや地方分権なんて考えていない。
 推進会議も文科省も親や子どものことは考えていない。自分たちの都合のいいように理由を探して述べているだけ。問題の本質からズレた議論は時間の無駄だ。