実態調査が必要ではないか

JR西日本の「日勤教育」、3割は「運転」と無関係

 JR西は日勤教育について、トラブルや運転ミスの再発防止を目的に実施していたと説明している。しかし事故調が、JR西が2003〜04年度に運転士らに対して行った計1182回の日勤教育を調査した結果、「勤務態度が悪い」「遅刻が多い」など、運転ミスなどとは直接関係のない理由だけで実施していたものが約3割に達した。

 日勤教育の内容も、「環境整備」などの名目で、運転士に駅施設の草むしりや掃除をさせるなど、電車の運転などとは無関係の作業を命じていたケースがあった。

北海道・美深高の研修暴力問題:道教委、男性教諭を分限免職 指導力不足では初

 今回の問題は、全国的に問題となっている指導力不足教諭への研修制度の運用について課題を残した。昨年4月に美深高で始まった清尾教諭への研修は、生徒や同僚から隔離され、日中はカーテンが閉め切られた書道準備室で続いた。内容は午前7時55分から午後4時40分まで、校長らから与えられた課題について研修日誌を書くだけ。清尾教諭は「研修に名を借りた個人への圧力」と反発。さらに、清尾教諭が人権救済を申し立てたり、「校長らの暴行」を警察に訴えたりしたことで、両者の対立は深まった。こうした中、研修本来の目的を果たす環境は失われていった。

 この二つには共通の問題がある。それは、教育や研修が社員や教員の資質を向上させるためではなく、懲罰的な意味合いや排除を目的とするようなものになっているということだ。
 指導力不足教員に対する研修が、「閉め切った部屋で校長らから与えられた課題について研修日誌を書くだけ。」では研修の効果など上がるはずがない。
 以前、アメリカの同僚教員評価制度について紹介した。そこでは書けなかったが、アメリカでは教員の資質向上のためのプログラムが年間の教育計画の中に組み込まれている。そのプログラムのマネジメントの中心となるのは校長だ。また、アメリカにおいては指導力不足などの認定のプロセスは透明性が高い。日本では認定のプロセスが見えにくい。
 指導力不足だと認定された教員が現場復帰する割合は低い。また、復帰するまでの期間が長い。それは、当該教員の抱えている問題が深刻であるというだけではなく、研修の効果が上がっていないことを示している。
 指導力不足教員の認定と研修の実態について調査してみる必要があるのではないだろうか。