奇妙なもの

 ある日学校に奇妙なものが送られてきたらしい。経歴などがびっしりと書き込まれた見合い写真。でも肝心の写真が添付されていないのだという。
 そして、一通の便せんにはこう書かれていた。「すべての子どもたちにそれを見せ、キョウイクし、見合い相手を愛せるようにすること。実施されなかった場合処分されます。」と。
 びっしりと書かれたものを読むと、「私はこんなに素晴らしいのです」「私はこんなに尊敬されています」「私はこんなに良いことをしてきました」ということばかり書いてある。しかし、相手の本当の姿は見えない。どんなに素晴らしくいい人でも欠点はあるだろう。しかし、その欠点は見えない。見えないのではなく見なくても良いのだという。
 子どもはそんな相手を愛さなければならないのだという。子どもはきちんと判断できないからただそこに書いてあることを信じていればいいのだという。

 これは、ただの作り話だが、同じようなことが現実に実施されようとしている。