デメリットを強調しても

ニートにならないガイド1500部配布
ヤングキャリアセンター埼玉

ガイドブックはA4判、六十五ページ。相談窓口のほか、フリーターのデメリット、企業が求める人材像などの心構えを紹介。また、自己分析や履歴書の書き方など就職のノウハウも盛り込んでいる。

 フリーターのデメリットを強調しても、正規雇用が減少し、働きながら能力向上や技能習得ができる環境もないまま、どうやってもフリーター、非正規雇用の立場から抜け出せないという人たちにとっては意味がない。
 前のブログで引用した宮本みち子氏の指摘をもう一度引用しておきたい。

 日本型の移行期は,子どもの教育責任をもっぱら親に負わせる日本社会の構造と切り離しがたい。若者の貧困化が隠される日本社会では,真に問題を抱えた若者が存在していることが認識されるのに時間がかかる。親が子どもの移行を支えられない家庭が,どこにどの程度存在しているのかが明らかになりにくい(宮本, 2004)。このことは,EUの若年者雇用政策の対象年齢が10代から20代前半であるのに対して,日本が20代から30代前半に及んでいることにも表れている。日本の若者の困難が,20代の中盤以降でないと顕在化しない社会的文化的環境と無関係ではない。

 社会階層の違いにかかわらず,不安定就労期間が長くなるにしたがって,将来に対する悲観的意識が生まれる。彼らの低い所得水準では親との同居生活が30代に及ぶ可能性がある。もし一人暮しをすれば,最低生活に近い状態になるだろう。自分自身の家庭をもつことも自明とはいえない状態にある。

 若年者の不安定な就労期間を長期化させないような施策やその他様々な施策が、現状を的確に捉えた上で実施されることが必要だ。そうでなければ、フリーターやニートのデメリットを一方的に強調しても意味はない。単にフリーターやニート社会的排除の対象にしてしまうだけだ。