必要のない競争をさせることのどこが教育なのか

【正論】社会学者・加藤秀俊 「競争」なくして何の教育か

 大学入試と全国学力調査,この両者を混同したこのような論が必要のない競争をさせることを正当化している。
 まず、全国学力テストと入試の違いは何か。それはEvaluationとAssessmentの違いだ。入試はEvaluationだ。入試は差をつけることを目的とした評価であり、方法も差をつけるための評価方法が用いられる。そして、そこには「競争」が必要不可欠なものとして存在する。全国学力テストは、Assessmentだ。それは被評価者の現状を把握することを目的とし、現状を把握するための評価方法が用いられる。そして、そこには「フィードバック」が必要不可欠なものとして存在する。また、入試では評価の基準は簡単に変更されない。しかし、全国学力テストでは評価の基準は絶えず見直しの対象となる。両者を混同したまま,「競争させるのか,させないのか」という点で議論をするのはおかしい。
 それだけではない。http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20081227/1230321073で書いたけれど,提灯と釣り鐘を比較してそれで競争させるのは間違っている。
 必要のない競争を正当化するために入試と全国学力調査を混同し,比較できないものを比較し,それで競争させることの何が教育なのか。