こういう報道が偏見や誤解を生み出す

【安倍政権考】ピッチ上げる教育改革 阿比留瑠比

 こういう類の報道は教育のためにはならない。自分たちの自己満足のためにしかならない定番の日教組批判はご自由にどうぞと思うのだが、

 いじめ自殺の多発や、高校の必修科目未履修問題ゆとり教育による学力低下…。次々と明らかになる実態は、どれも教育現場の規範意識の欠如を示している。いずれも「志ある国民を育てたい」「すべての子供に必要な学力を身につける機会を保証する」と主張する安倍氏にとって、看過できない問題だ。
 特に、この30年間で授業内容を段階的に半分にまで削り取ったゆとり教育と、それに伴い導入された総合学習の時間は「ともに、もともと日教組の政策だ。これに文部省(現文科省)が乗った」(小林正・元神奈川県教組委員長)とされる。
 ゆとり教育の見直しに関しては、自民党文教関係議員にも抵抗が強いが、「47都道府県の位置も教えていないから、北海道の場所も知らない子供がいると話すと『そうなのか』と愕然(がくぜん)とする」(政府関係者)という。

といった、現状認識も歴史的経緯も無視した偏見と誤解に満ちたものを書かれると、見過ごせない。
 「いじめ自殺の多発や、高校の必修科目未履修問題ゆとり教育による学力低下…。次々と明らかになる実態は、どれも教育現場の規範意識の欠如を示している。」というが、そういうことは以前からある問題であり、規範意識の欠如だけが要因にはならない。また、いじめや自殺の問題と、学力低下の問題などは規範意識の欠如の表れとして十把一絡げにできるものではない。
 「特に、この30年間で授業内容を段階的に半分にまで削り取ったゆとり教育と、それに伴い導入された総合学習の時間は「ともに、もともと日教組の政策だ。これに文部省(現文科省)が乗った」(小林正・元神奈川県教組委員長)とされる。」というのは、現在のいわゆる「ゆとり教育路線」が導入された経緯、これまでの変遷。日教組などが議論していたものと、文部科学省が導入した総合的な学習の時間との違い。そういうことを一切無視している。
 「ゆとり教育の見直しに関しては、自民党文教関係議員にも抵抗が強いが、「47都道府県の位置も教えていないから、北海道の場所も知らない子供がいると話すと『そうなのか』と愕然(がくぜん)とする」(政府関係者)という。」というが、過去と現在の学習指導要領などをもう少しきちんと読んでほしい。それは「ゆとり教育」が原因というのは誤解だということが分かるはずだ。
 こういったものが、報道されることで教育に対する誤解や偏見はさらに深まる。最初にも書いたが、こういう報道は教育のためにはならない。