問い直すという視点

都立学校の学校設定教科・科目「日本の伝統・文化」カリキュラムについて

 このカリキュラムを見ながらいくつか考えた。
 これによって教え、学ばれる「伝統」や「文化」は誰のものか。なぜこれが「伝統」や「文化」として選択されたのか。なぜ「伝統」や「文化」を学ばなければならないのか。そういうことを問うということがこのカリキュラムでは行われないのではないだろうか。
 そういう問いかけをすることなく、「自国」の「伝統」「文化」として「選択」されたものをカタログ化し、それを学ぶ。それは観光案内のパンフレットを眺め、それによってそこの「文化」を「理解した」と錯覚しているのと同じではないか。
 また、伝統や文化は「ポリティックス」とは切り離すことができない。それらの持つポリティックスが伝統や文化の盛衰を左右してきたし、悲劇も生み出してきた。そういう点について学ぶような機会は用意されていないし、そもそもそういう視点が最初から無い。
 このようなカリキュラムでは、伝統や文化を「狭い視点」だけで捉えてしまうのではないだろうか。