モンスターペアレントって言うな

社説:モンスター親 先生を孤立させない体制を

 「ニート」「ゆとり教育世代」に続いて今度は「モンスターペアレント」という言葉をマスコミが多用しだした。
 http://blog.livedoor.jp/kaikai00/archives/50385495.htmlで,「ゆとり教育世代って言うな」というのを書いたことがある。「ニート」や「ゆとり教育世代」という言葉がマスコミで多用され,ネガティブなイメージだけが先行したように,「モンスターペアレント」という言葉も同じような役割を果たしている。
 http://blog.goo.ne.jp/madographos/e/96a709487d635c943c13a9ee17b7f65dhttp://shiozaki.info/mt/archives/2007/06/post_1002.htmlにあるように,「モンスターペアレント」という言葉とイメージは,教師と保護者の相互不信を深めて,互いのことを理解しようとしなくなるのではないか。
 「モンスターペアレント」という言葉が多用され,ネガティブなイメージだけが先行したら,本当に伝えなければならないことも伝えられなくなる。学校や教師に気持ちや言い分を伝えるという正当なことが後ろめたいものになるからだ。
 こういうことを書くと,現場教師のきつさを理解していないと言われるだろう。けれども,他の人に対応を丸投げして,肝心の教師にはなぜ要求が寄せられたのか知らされないし,教師が知ろうともしなくなるとしたら,それは間違っている。http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20070619/1182201439で引用したけれど,小野田正利氏は,

 私は、イチャモンという問題を考えていますが、その裏返しはつねに"連携"です。ごく簡単にいいますと"連携"と"イチャモン"は、オモテとウラの関係なのです。「イチャモンこそチャンス」です。このところをもう一度、教職員の側は、肝に銘じていただきたい。そして保護者のみなさんには、ときとしてトゲトゲしくなるもの言いを、一度、ちょっとそうではないちがうかたちで、「うん?これイチャモンになってえへんかな?そうじゃないかな?」と考えながら、それを反省しながら、きちんと学校に出していく。そして、「なんだったら、私が、あんたの話聞いたげるわ」と学校に不満を持っている人に呼びかける。いま、この本を読まれているみなさんにはPTAでそういう役割をされた方も多いと思います。「あんたの悩みを聞きましょう」というかたちで、手を差し伸べてください。そういう取り組みが、どうできるかということなのです。
 人間は、ストレートにものを言うときに、「どうしても言わな気がスマン」という部分があります。これはすごく大事なことがらなのですが、もう一方で、自分の怒りや感情や思いが、どれだけ意味があるかということを考え、一度、誰か近場の他人に話をしてみることも大事です。そうした関係を通したなかで、学校に「どのように思っていることを伝えていくか」が大切です。
 そうしたなかで、「学校これやってよ」ではなく、「私は、こうしたいと思う」「先生、これしてくれません?」「私は、ここまでやります」という、このお互いの関係をつくれるようなかたちでの要求の出し方をしていくことが、社会が壊れない道すじです。そして、学校というところを通しながら、社会が結びあっていくことが重要なのではないでしょうか。

と述べている。言うは易しだとい割れるかもしれない。けれども,それが遠回りに見えるけれども近道なんじゃないだろうか。
 マスコミは「モンスターペアレント」という言葉を多用すべきじゃない。そういう言葉の多用は,問題を可視化することじゃなくて,問題を不必要に大きくし,一面的な捉え方を広めることに貢献するだけだ。モンスターペアレントって言うな。