教育再生会議というごっこ遊びはもう止めにしませんか

教育再生会議「心の成長」策提唱 「30人31脚」など

 安倍首相直属の教育再生会議の「規範意識・家族・地域教育再生分科会」(第2分科会)は29日、来年1月に打ち出す第1次報告の素案をまとめた。「子どもの『心の成長』のために」と題し、「家族の日」を創設し、家族一緒に夕食を取ることや、協力・助け合いの重要性を実感してもらうため体育の時間に「30人31脚」を行うことなどを提唱している。

 例えば、会社の企画会議に人の企画、それもたいした企画でもないものをコピペして、それを企画書ですと言って提出されたらどうしますか?例えば、既に知られているようなものを、あたかも自分が大発見したように書かれた論文を提出されたらどうしますか?人の書いた脚本、しかも駄作と言われているようなものを名前だけ変えて出してきたらどうしますか?おそらく、すべて否定されやり直せと言われるでしょう。それと同じことを教育再生会議では平気な顔をして、自分たちこそ教育を再生するんだと言って行っている。
 教育再生会議が子ども騙しのようなことをやっているにも関わらず、これまで文部科学省や教員達の無能ぶりを嘆いていた方々は批判をしない。それはなぜなのか。まだ、発足して日が浅いからなのか。それとも、教育再生会議が何をやろうと関係ないからとあきらめているのか。
 教育再生会議安倍内閣の「重要課題」として教育を掲げ、その中核を担うために発足したはずだ。それが、こういう子ども騙しのような、国民をバカにしたような提言を行っている。それも、社会的には認められた素晴らしい肩書きを持った方々がやっている。子どもたちの教養の無さを嘆く前に、こういう方々の教養を嘆くべきだ。
 教育の問題をこういった方々が左右するとしたら、この国の将来はそれこそ危険ではないか。結局彼らがやっているのは「教育改革ごっこ」であって、教育改悪でしかない。そういうものをいつまでも許しておける余裕はない。教育再生会議というごっこ遊びはもう止めにして、本当に教育の問題を議論できる場をつくって、問題の解決を目指すべきだ。教育再生会議の委員の一人は、「いじめは100パーセント教師の責任である」と言った。しかし、そういう彼らは、教育に対して全く責任を果たしていないばかりか、自分たちの責任を他人に押しつけている。どうしても、教育談義をやりたければ、自分たちで資金を出し、自分たちだけでやればいい。こういうのは飲み屋や井戸端でやればいい。諮問機関などという公的な機関でやるような議論ではない。何度も繰り返して言う。教育再生会議は解散せよ。税金と時間をこれ以上無駄にしてはいけない。

【主張】いじめ緊急提言 問題児童に奉仕は良い薬

 この社説のように、くだらないことを評価してしまうのが教育再生会議を後押ししている。

社説2 いじめ緊急提言、にじむ苦渋(11/30)

 一体あの提言のどこが苦渋に満ちているというのか。苦渋に満ちていると言うよりばかばかしさが満ちているではないか。

いじめ緊急提言:厳しい教育現場の声 「アメとムチ」

 一方、提言に文部科学省幹部からも批判の声が漏れた。内容の多くは、すでに同省が各都道府県教委などに指導・助言をしている。ある幹部は「なんで今ごろこんなものを(提言するのか)……。けんかを売られているような感じがする」と批判した。

 喧嘩を売られているのは官僚だけじゃない。国民にも喧嘩を売られている。

追記
 いただいたコメントにここでお答えします。
 私は、教育再生会議なるものが設置されるということが明らかにされたときから一貫してこのブログで主張してきたことがあります。それは、現在の教育再生会議という形ではなく、中教審を改編して、専門家をきちんと委員として入れて、議論する場を設けてほしいということです。また、それは、これまでの中教審のように諮問がなければ議論しないのではなく、教育の問題について主体的に議論し、調査し、提言を行えるものをということです。
 また、いじめの問題が取り上げられて、教育再生会議の緊急提言が出されるまで日数がありました。もし、いじめの問題に限って議論をし、何らかの提言を行うとするなら、いじめの問題について中教審等でこれまでどのような議論が行われてきたかを調査すること。その後の実施状況がどうかを調査すること。いじめの問題について専門家からヒアリングを行うこと。現場に行って話を聞くこと。そういうことができたはずです。何も忙しい再生会議の委員の方々がやる必要はなく、官僚や研究者に依頼し、調査等をしてもらい、その報告をあげてもらって構いません。その上で議論し、まとめたものを提言として出すことはできたはずです。そういうことを教育再生会議はやってはいません。
 また、教育の問題を本当にやろうとするなら、常設の機関を設けることも可能なはずです。一つ例を挙げます。戦後間もない頃、前田多聞氏が文相のころ、今後必ず必要であるとして、大臣自ら行政法などの専門家を文部省に入ってほしいと依頼され、田中耕太郎氏などが文部省に入省された。その時入省された方々が教育基本法や戦後の教育の立ち上げを行った。前田氏は後に文相時代の自他共に認める功績はそういう方々を入省させることができたことだと語っています。
 前田氏がやったように、安倍首相自ら、教育が重要課題であるからぜひ力を貸していただきたいとおっしゃって、文部科学省中教審国立教育政策研究所などを改編し、教育の研究者等必要な人材を迎え入れ、教育問題に対応できる常設の機関を創設することも可能だったはずです。
 今後可能な範囲でいじめ問題だけでなく、教育の問題について自分の考えを書いていくつもりです。それが「ごっこ遊び」と変わらないと思われれば批判してください。